日常的に摂取することの多い食品添加物ですが、欧米では禁止されているのに、国内では使用されているものがあることをご存じでしょうか。そういった食品添加物について安全性や使用基準について解説していきます!

欧米で禁止されているが、日本で使用許可されている食品添加物
食品添加物には、食品に彩りを与える着色料、保存期間を延ばすことが出来る保存料など様々な種類があります。その中で欧米で禁止されているが、国内では使用できる食品添加物を紹介します。
クチナシ赤色素
天然着色料の1種であるクチナシ赤色素はクチナシの実から作られる赤色の色素で、パンやお菓子、飲料にも用いられています。ただ、こちらの食品添加物は欧米で禁止されているが、国内では使用できる添加物の1つです。
欧米では発がん性やアレルギー反応などの健康への影響を理由に規制されています。それではなぜ、国内では使用が可能なのでしょうか。そもそも食品添加物にはADIという摂取量の基準値が定められています。ADIとは人が一生涯食べ続けても健康に悪影響を与えないと認められた一日あたりの摂取量のことです。

クチナシ赤色素のADI値は?
クチナシ赤色素のADIは1日当たり0~2.5 mg/kgとされており、この量を摂取し続けても人体には問題ないとされています。この数値ではイメージが付きにくいと思いますので、例を挙げてみます。
和菓子1個あたりに、クチナシ赤色素は平均5mg含まれています。50㎏の成人がADI値に達するまで和菓子を食べるなら、1日当たり25個の和菓子を食べ続ける必要があります。
なぜ欧米では使用禁止なのか
ADI値を上回る量を摂取することはかなり難しいことが分かったかと思います。ならば、何故欧米は使用禁止としているのでしょうか。
欧米はラットによる研究にて、発がん性やアレルギーなどによる健康への影響が見られたことから使用禁止としています。ただ、ラットと人間では摂取量にかなり違いがあるので、国内の見解としましては人間への影響はないとされています。クチナシ赤色素が危険であるか、どの程度まで摂取してもよいかについては個々人で良く調べて判断することが重要であるといえます。
2025年1月には「赤色3号」がアメリカで使用禁止となるなど、添加物については個々人が調べることが重要な時代に入ってきているといえます。
たんぱく加水分解物
続いては強化剤として用いられる食品添加物「たんぱく加水分解物」です。こちらの添加物は食品の風味を強化する目的で使用されるもので、日本では広く認可されています。カレー、ラーメンスープ、ハンバーグなどに使用されており、主成分がアミノ酸であるため食品にうま味やコクを与えてくれます。
なぜ欧米では使用禁止なのか。健康への影響は?
そもそもたんぱく加水分解物は動植物由来のタンパク質を強酸や酵素によって分解して作られます。強酸で分解される場合に、発がん性物質であるクロロプロパノール類が生成される可能性があります。
欧米諸国ではこのクロロプロパノール類の残留基準を厳しく設定しているため基準値を超える可能性がある製品は販売が禁止されています。
ただ、クロロプロパノール類に関してもJECFA等の機関がリスク評価を実施しており、一般人が食事の範囲で摂り続けても人の健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと結論付けられています。
クリーンラベル志向
現在、欧米では合成や加工された添加物を避けるクリーンラベル志向が強まっています。今回紹介した「たんぱく加水分解物」は加工することによって製造されますので、クリーンラベル志向にはそぐわないことも事実です。
様々な機関が安全性に問題ないことを公表していますが、天然由来の調味料を選ぶ人も多くなってきていますので、今後の対応にも注目が必要です。
食品添加物の安全性は個々人で判断する時代に
2025年1月にはアメリカが「赤色3号」という着色料を使用禁止とすると発表がありました。
今回紹介した食品添加物のように欧米では安全性への影響を懸念して使用禁止となっているものもあります。ただ、食品添加物はADI値で明確な基準が定められているほか、リスク評価もきちんとなされています。闇雲に食品添加物が危険と考えるのではなく、自身で良く調べることにより程よい距離感で食品添加物と付き合うことが今の時代には重要であると私は考えています。
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